

…日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた…。
人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。
祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。
元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗り―それが祖父だった。
「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻を志願したのか?
健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。
はるかなる時を超えて結実した
過酷にて清冽なる愛の物語!…
良い評判を聞いて興味がわき、読んでみました。
その愛の形は…残念なことに、当事者には認識されにくいものですね。
振り返って…俯瞰・鳥瞰してみたとき初めて、そこに愛があったことを思い知る。
悲しいかな人間って、愛を愛と捉えられない・気が付かないことがあります。
現代に在ったならおそらく優れた人格者になったであろう人物も、戦時下では人非人扱いもあり得ること。
今のそれは本心ですか?それとも浮世の戯言ですか?
哀しみを感じつつ愛をもって応える、…重なる気がします。
そんな人がいたのかな…なんて思いつつ読み終えてみたら、巻末に「この物語はフィクションで…」。
あら残念。^^;
でも本当にそういう人がいたのかもしれないと、そう思える物語でした。
マンガ化もされたようです、でもこれは書籍で読んで正解だったね。
感謝します、ありがとうございます。

